日本人が海外で出産した場合、出生届は日本に出すべき?出さなかったらどうなるの?
ここでは日本に出生届を出さなかった場合の対処法を説明します。
前提として、国際結婚でも片方の親が日本人なら日本国籍を取得できます。
国際結婚では、両親のうちどちらかが日本人であれば、出生届に「国籍留保」を記入することにより、子供は日本国籍を取得することができます。
世界には色々な国籍に対する考え方があり、生まれた国の法律や父母の国籍によって子供の国籍が決まります。なので、ひとつの国籍だけ与えられることもあれば、2重3重と国籍が付与される場合もあります。
多くの国々において、国籍に関する法律が違うので、父親と母親の国籍の法律と、住んでいる国の国籍の法律を理解しておく必要があります。わからなければ、出産前に調べておくことをお勧めします。
重要なのは国際結婚の場合、出生届に「国籍留保」と記入したものを日本の在外公館に期間内に提出しないと、日本国籍ではなくなってしまうということです。
基本的な出生届の出し方
日本で出産した場合ー父母のどちらかが日本人であれば、日本国籍を取得することができます。
- 父母の本籍地、子供の出生地、お住まいの市区町村の内、いずれかの窓口に出生届を提出。
- 生まれてから14日以内に、両親または父母どちらかが提出します。(父母が提出できない場合は、同居人かお産に立ち会った医師、助産師が提出します)
- 提出に必要なものー出生届、母子手帳、印鑑。市町村によって必要なものとしては、出生証明書、健康保険証、妊産婦医療費受給者証、通帳など預金口座がわかるもの。
出生届は14日以内に提出します。
海外で出産した場合ー父母のどちらかが日本国籍であれば、日本国籍を取得することができます。出生届を3か月以内にお住まいの国の在外公館に提出します。(日本での事務手続きも考えると、早めに出した方が良いです)
出生届に「国籍留保」を記入します。これによって、2重国籍になります。
出産する国の国籍に対する考え方、外国人配偶者の国の国籍の考え方も合わせて調べておく必要があります。
日本では基本、2重国籍は認められてませんが、18歳まで2重国籍が許されています。(18歳以降に日本国籍を取得して2重国籍になった場合は、その後の2年間で日本国籍を取得するか、辞退するか決めます)
海外出産においての出生届は、下のリンクで詳しく説明しています。
海外で出産した場合ー日本人夫婦の場合、日本国籍を取得できます。
日本人夫婦が海外で出産すると、父母両系血統主義により、子供は自動的に日本人になります。
出生届を日本の在外公館に提出します。(日本での事務手続きも考えると、早めに出した方が良いです)
「国籍保留」はしなくて良いです。
出生地主義の国(アメリカ、カナダなど)の国で出産すれば、その国の国籍が付与されますが、血統主義の国ではその国の国籍が得られない場合があります。
無国籍になってしまわないよう、ご注意ください。
くわしくは、海外出産。日本への出生届についてのリンクをご覧ください。
出生届を出し忘れていたら、「国籍の再取得」を
出生届を日本に出し忘れていたら、日本のパスポートが作れないどころか、日本人として認められてなかった!
夫の国籍でパスポートを取ろうと思って、よくわからないまま記入をしていたら、知らずにその国の国籍取得の記入をしていたため、その国の国籍を選択したことになり子供の日本国籍がなくなってしまった。
これらはあるあるな話です。毎日の生活に精一杯、子供の世話に精一杯になっていると、よくわからないままで過ごしてしまうものです。
20歳未満でできる「国籍の再取得」
救済措置です。以下の条件があれば日本国籍を取得することができます。
- 18歳以下である。
- 日本に住所がある(国籍再取得の届け出時、最低6か月は日本に住所があること。観光や一時帰国ではダメ)
または、「国籍留保」で18歳で国籍の選択をしなければならないときにしなかった場合、催促から1年未満なら「国籍の再取得」ができます。(実質20歳まで許容されています)
*「国籍留保」とは、出生届に日本国籍を持っておくという記載をすることです。18歳までは2重国籍になります。子供は成人のときまでに、自分がどこの国の国籍を持つか判断することができます。
日本国籍を再取得しようとするお子さんが15歳未満の場合は、両親のどちらかが申請をします。
「国籍の再取得」により日本国籍を選んだ場合、多重国籍のお子さんは法律によって他の国籍を放棄します。
逆に、ここで日本国籍を選択しないのであれば、日本国籍を放棄したことになります。
いずれにしても、人それぞれ事情が様々ですので、お住まいの近くにある法務局に相談してみるのが良いです。
国籍再取得の届け出は法務局まで
国籍再取得の届出に必要な書類
必要書類 | 1 本人出生時の父又は母の戸籍謄本 2 出生証明書、分娩の事実を証する書面等 3 住民票又は旅券等 4 国籍を取得しようとする者の写真(5㎝×5㎝)15歳未満の者は、法定代理人と一緒に撮影したもの。6か月以内に撮影したもの。 *上記各1通 外国語で書かれた書類は日本語訳添付。 日本国籍を希望している者の日本国内の住所を示す書類。 (住民票の写し、旅券の写し等) 法定代理人が届出をする場合は、法定代理人の資格を証する書面として、戸籍謄本、法定代理人の指定等に関する裁判書謄本、その他外国人の本国における証明書等を提出 |
届出人 | 15歳以上は本人 15歳未満は親権者や法定代理人 |
手続き場所 | 日本国籍を取得しようとする者の住所を管轄する法務局又は地方法務局(国籍事務を取り扱う支局を含む。) |
国籍再取得の用紙は窓口に用意してあります。
届書を作成し、添付書類を添えて提出します。
日本国籍を取得しようとする者が15歳以上のときは本人が、15歳未満のときは親権者、後見人などの法定代理人が出頭しなければなりません。このとき親権者、後見人などの法定代理人が本人だということを示すために、在留カード、旅券、運転免許証、健康保険証、母子健康手帳等を持参します。
届け出に手数料はかかりません。
人それぞれ国による事情などが異なりますので、あらかじめ近くの総務局に相談の電話をしてからの方が良いでしょう。
国籍に関する相談窓口一覧(帰化、国籍取得、重国籍など)→こちらをクリック
帰化申請
国籍再取得をしなかったらもう日本国籍が取れないということはなく、「帰化申請」ができます。
これは、外国籍の人が日本国籍を取る方法になります。
だいぶ条件が厳しくなっており、個人が簡単に申請して通るものではありません。帰化申請を専門とする行政書士や弁護士に相談したほうが良いでしょう。