海外で出産した日本国籍を持つ夫婦、片方が日本国籍を持つ夫婦の場合、生まれた子供に日本国籍を持たせるために出生届を提出します。
生まれてから3か月以内に出生届を出さないといけないため、必要書類は出産前にそろえておくことをお勧めします。
あらかじめお住まいの在外公館に電話して、どんな書類が必要か、どのように提出するべきなのか、確認をしておくのがベストです。国によって事情も様々なので、ひとくくりにこれが正解!とは言えません。
いざ赤ちゃんが生まれると、両親は子育てに大忙しでてんやわんやになるので、在外公館への確認は出産前にしておきましょう。揃えられる書類は、ファイルを作るなどしてまとめておくと便利です。
出生届は生まれてから3か月以内にお住まいの国の在外公館に提出
原則的には、父か母が提出に赴きます。たとえどちらかが外国人でも日本の大使館/領事館に提出に行って提出します。
在外公館(大使館/領事館)に提出しようにも、国が広くて遠方すぎるのであれば、在外公館に郵送するか、直接市区町村役場へ郵送することも可能です。(お住まいの国の在外公館に要確認)
生まれた子が外国籍を持つ場合、3か月を過ぎてしまうと日本国籍を登録できなくなります。(3か月以内に出生届とともに日本の国籍を留保する意思を表示(出生届の「日本国籍を留保する」欄に署名・押印する)しなければ、出生の日にさかのぼって、日本国籍を失うことになります)
出生届は、在外公館(大使館/領事館)に提出した場合、日本の市区町村の戸籍に反映されるまで1か月から2か月程程度かかるようです。
出生届はお住まいの在外公館で手に入れることができます。また、オンラインでダウンロードできます。(お住まいの国の在外公館によってダウンロードできない場合も。要確認)
戸籍、国籍関係の届け出について(外務省)
こちらのページから出生届(PDF)をダウンロードできます
出生届の他に提出が必要な書類について
子供が生まれたら必要な書類
- 出生届(在外公館でもらうか、ダウンロードしたもの)
- 外国官公署発行の出生登録証明書又は医師が作成した出生証明書の原本
- 同和訳文
外国官公署発行の出生登録証明書とは、その国でお住まいの地域で発行される出生証明書です。医師等が作成した出生証明書とは、病院からもらえる出生証明書(病院名、病院住所、医師名などが書かれたもの)
外国官公署発行の出生登録証明書又は医師が作成した出生証明書は、コピーはせず原本で提出します。
外国語で書かれている証明書は和訳が必要です。
*お住まいの国によっては出生届をダウンロードできないようにしている場合があります。あらかじめお住まいの在外公館に問い合わせしてください。
その他出生届を出す際に必要な書類
- 日本国籍者である父、または母のパスポート
- 日本国籍である父、もしくは母の在留ビザ
- 現住所を示す証拠(免許証や、電気料金など公共料金の手紙で現住所が記載されているもの)
*郵送で出生届や添付書類を出す場合、出生届、外国公署発行の出生登録証明書と医師等が作成した出生証明書は原本で。その他はコピーで良いとされていますが、これもお住まいの国よって事情がかわりますので、要確認)
国際結婚による子供の国籍について
国際結婚では、2重国籍を子供が有することになります。
日本ではひとつの国籍しか有することができない法律があるので、20歳に達するまでに(18歳に達した後に重国籍になった場合は、重国籍になった時から2年以内に)日本国籍を選択するか、外国籍を選択するか、どちらかに決めなくてはなりません。
国によって国籍取得の概念が違うので注意
1.出生地主義ー両親の国籍にかかわらず、その国で生まれた子供はその国の国籍を持ちます
アメリカ、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、パキスタン、ブラジルなど
2.血統主義ー親の国籍を子供が引き継ぎます。日本がこれに当てはまります(父母両系血統主義)。日本の場合は、両親のどちらかが日本人であれば、子供は日本国籍を持つことができます。
しかし、国よっては父親の国籍を承継する父系血統主義を採用している国もあります。父親が該当の国籍の人間であれば、子はその国の国籍になりますが、父親が日本人であれば、子は日本国籍を取得します。(日本も85年までは父系血統主義で、父親が外国人で、母親が日本人だと、子供は日本国籍を取得できませんでした)
父母両系血統主義 | 日本、韓国、フランス、イタリア、オランダ、スイス、ベトナム、フィリピンなど |
父系血統主義 | イラク、イラン、サウジアラビア、ネパール、インドネシアなど |
3.条件で国籍が決まる国(例)
フランスー出生地主義と血統主義が採用されています。
1.父母どちらかがフランス人の子供であればフランス国籍を取得。
2.父母ともに外国人であるが、フランスで生まれ育ち、18歳になったときにフランスに居住している子供がフランス国籍を取得。
ドイツー基本的に出生地主義と言えます。父母ともに外国人の子供でもドイツ国籍の取得ができます。ただし、永住意思が父母にある場合です。子供は同時に父母の国籍も得ることができます。
オーストラリアー父母どちらかがオーストラリア国籍の子供、父母どちらかがオーストラリア国民、永住権を持った子供が取得。
国によって国籍の考え方はさまざまです。
日本の場合、2重国籍を持っていても良いのは、海外で生まれたり両親のどちらかが外国人の場合であり、子供は成人の時までに、自分の意志で国籍を選択することができます。
注意しなければならないのは、日本人同士の結婚で海外出産した場合は、出生届の提出が遅れても子供には日本国籍が与えられますが、国際結婚の場合では、出生届が遅れてしまうと日本国籍がとれなくなってしまうという点です。
子供が成長してから日本国籍を取ることはできますが、いろいろ手間がかかりますので、ご両親は出産直後は大変でしょうが、子供の未来のためにも出生届は忘れずに提出しましょう。(後々日本のパスポートをとるためにも、出生届を出すのは必須です)